筆跡鑑定士

筆跡鑑定とは、書かれた文字を鑑定して本人特定を行うことを言い、これを専門的に行う職業を筆跡鑑定士と呼びます。
日本で主流なのは印鑑ですが、欧米では、サインが非常に重要視されています。
それほど筆跡というのは他の人にまねできない本人独特のものであるという事です。
筆跡鑑定士は主に、2つ以上の文書に書かれた文字を比較し、本人独特の筆跡の癖、例えばはね方や止め方、形などを見極めることで本人の書いたものかどうかを鑑定するのです。
さらに日本では偽造印鑑が使用されていないかの鑑定も筆跡鑑定士によって行われます。


筆跡鑑定士になるには、特別な資格が必要なわけではなく、日本では資格そのものも存在しません。
しかし専門知識が必要な職業ですから、筆跡鑑定士養成所で学び、その修了証書がなければ職業としては成り立ちません。


日本よりも署名を重要視する欧米諸国では、筆跡鑑定士は大きく注目されている職業です。
フランスなど、国家資格として筆跡鑑定士がある国さえあるほどです。

筆跡からは、単なる本人の筆跡かどうかという情報に加えて、人の心理も見る事ができます。
それで、筆跡と心理学を結びつける学問もあり、実際に筆跡鑑定士は心理学にも精通しています。
筆跡による性格分析なども行われるからです。


筆跡鑑定士は日本ではまだまだ少なく100名ほどしか存在しません。
資格がないとはいえ、必要とされる職業である事は間違いありません。

筆跡鑑定の需要

日本の筆跡鑑定士は数こそ少ないとはいえ筆跡鑑定の需要は大きいといえます。
どんな時に筆跡鑑定が必要になるのでしょうか。


まず多いのは、ある人物を誹謗中傷する文書の作成者の特定です。
例えば、Aさんが会社で昇進をしたとします。
すると昇進を果たした翌日から社内にその人の事を中傷するような内容の手書き文書が出回り始めます。
Aさんは自分の昇進をねたむ人の犯行を疑い、筆跡鑑定士に心当たりのある人の手書き文字の残された文書を鑑定してもらいます。
すると、犯人は同期で入社した社員である事が判明したため、Aさんは筆跡鑑定証を元に謝罪を要求する示談を行う、中傷行為をやめさせることができました。

さらに、筆跡鑑定は落書き犯の特定にも用いられる事があります。
例えばABC社の女子トイレに、ある時から性的な内容の落書きが相次ぐようになります。
ABC社はこの行為を止めるために筆跡鑑定士に落書きの鑑定・調査を依頼、結果常に出入りしている清掃業者の男性の筆跡である事が分かり、その業者への依頼を中止することで落書きはぴったりやみました。


また、遺言書の本人特定にも筆跡鑑定は重要な役割を果たします。
遺言書に偏った内容の財産相続が記述されている場合、不満の声が出る場合があります。
極端な例ですが、Bさんが亡くなり、遺言書には弟に全額譲り、兄には一切相続しないと書かれているとします。
兄は偽造を疑い、自分の相続権を主張します。
弟は遺言書が偽造されていない事を証明するために筆跡鑑定を依頼し、印鑑・筆跡が本人のものに違いない事が判明しました。

筆跡鑑定を依頼するには

筆跡鑑定を依頼したい場合、やはり気になるのは料金の事でしょう。
筆跡鑑定を行うには、まず筆跡鑑定に必要な資料を筆跡鑑定士に送付して、鑑定のレベルや料金、かかる日数などを見積もってもらう必要があります。
この見積もりは基本的に無料で行ってくれるようですが、実際に鑑定を依頼しない場合は見積もりに数万円請求する所もあります。
また、文字の性格によってはこの段階では判断できず、本鑑定でなければ分からないという事もあります。


見積もりの後実際の鑑定に進む事になりますが、この実際の鑑定には大きく分けて二つの種類があります。
簡易鑑定と、本鑑定です。


簡易鑑定は、裁判で用いる事の出来ない簡易な書式での報告を行う鑑定の事を言います。
調査内容はほとんど違わず、精度も同等ですが文字数に限りがあります。
裁判に用いるわけではないが、特定だけしたいという人の場合この簡易鑑定で十分でしょう。
簡易鑑定の場合は10万円~20万円を見積もっておく必要があります。

一方、本鑑定というのは、裁判で資料として用いる事のできる書式での報告を行う鑑定の事を言います。
こちらの場合は20万~50万ほどを見積もっておく必要があるでしょう。


簡易鑑定にしても本鑑定にしても、報告書の中には鑑定の根拠が示されている必要があります。
依頼する時にこれが行われるかどうかをしっかり確かめておきましょう。


さらに筆跡鑑定の報告書には、別の疑わしい筆跡鑑定に対する反論書兼鑑定書というものもあります。
こちらは40万円~100万近い金額になります。

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